2010/12/27

M-Pesa ケニアを変えた少額モバイル決済サービス

M-Pesaとは?

ケニアで普及している携帯電話を使った少額決済サービスのこと。
MはモバイルのM、Pesaはスワヒリ語でお金の意味。
2007年に、英通信大手VodafoneとKenya通信キャリアSafaricomの
ジョイントベンチャーでサービスが開始された。
ユーザー数は1300万人(ケニアの成人人口の半数以上がつかっている)を超え、2010年3月には約3億5100万ドルの決済に使われた。

M-Pesaの仕組みは簡単。
まずは、M-Pesa取次ぎ店でサービス利用登録する。
多くの取次店は小売店、薬局、ガソリンスタンドなどに併設されている。
取次店で、現金を自分の携帯電話にデポジットとしてチャージし、
送金時は、受け取り相手にSMS(ショートメッセージ)を送り、受け取り相手は
自分の携帯をもって近くの取次店へ行き、現金を受け取るだけ。

M-Pesaの利用シーンはというと、
中小企業のオーナーによる従業員への給与支払い、
買い物や、公共料金、タクシー料金などに加え、
田舎に住んでいる家族への送金や、中小企業間の事業資金送金手段としても使われている。

M-Pesaが普及した理由

キーワードは、必要性とモバイル。

まず、新興国で経済活動が活発になるにつれて、
企業間、企業-個人間のお金の移動も活発になる。

その一方で、新興国や途上国では、そもそも銀行口座を持っていない人々というのが存在する。
銀行口座普及率が90%を超えている先進国に住む私たちにとっては、
なかなか想像ができないかもしれない。
住所不定者、公共料金未払い者、ATMや銀行へのアクセスに不便なところに住んでいる人々、
インターネットが普及していない地域に住んでいる人など、
その数は決して少なくない。

また、治安の問題もあり、これら新興国で多額の現金を持ち歩くのは非常に危険であるという事実。
実際に、M-Pesaの利用方法として、こんな例がある。

バスで首都ナイロビへ向かうビジネスマンが、現金を持ったままバスに乗るのを避けるために出発前に口座に入金し、到着してから現金を受け取る
Vodafone、携帯電話利用の送金サービス『M-PESA』をケニアで開始

サービス普及と利便性向上を後押しした要因としては、
普及率とエリアカバレッジの高いモバイルに着目したところ。


思ったこと

ニーズのあるところに、ビジネスチャンスはあると思った。
困っている人がいる、不便に思っている人がいる、
それらに対してどうやってアプローチするか。
そしてこの例で言うと、自分だったらどうやってアプローチできるか?というところ。
vodafoneもsafaricomも通信会社なのでモバイルはわかるけど、どうやって決済サービスなんてアイデアに結びついたのだろう。(ひとつは、昨今の途上国でのマイクロファイナンスの成功がヒントになっているかもしれないと思った)

それと、その国でよく利用されているインフラ、サービス、仕組みなどを把握しておくのも大事だと思った。
結局M-Pesaの場合もATMやインターネットに比べてはるかに普及率の高いモバイルに着目したのが利便性を高めたキモ。

中南米、アフリカ、中東やアジアの一部の地域では90%以上の人々が最低でも一台は携帯電話を所持している。
In parts of Latin America, Africa, the Middle East and Asia, more than 90 percent of people typically carry at least one mobile phone

Mobile Banking in the Emerging World

お国が違えばこのあたりの事情も違う。(そういえば、この間の上海に行った時、サイネージがものすごく普及していてびっくりした)。先進主要国とアジア新興国に関してはこの辺りの普及割合と違いを把握していて、定量的な数字もそらで言えるようにしたいところ。

既存の枠組みにとらわれないで考えるという意味で、
「そもそも銀行口座を持っていない人が多い」部分に関しては、日本に住む自分の
感覚ではあまり想像できない部分ではありつつも、
ケニア然り、新興国とよばれている国や発展途上国などは似たような状況の様子。

新興国におけるモバイルバンキングサービスの現状については、
2002年にフィリピンでSmart and Globeのモバイル少額決済サービスを先駆けに、
M-Pesaがケニア(1300万人)、タンザニア(600万人)、アフガニスタン、南アフリカ、インド(試験運用)などでもサービスを開始している他、

フランステレコム(France Telecom)傘下のオレンジ(Orange)でも、2008年12月を開始した「Orange Money」というサービスを、現在マリ、セネガル、コートジボワール、マダガスカル、ケニア、ニジェールの6カ国で提供中。同社担当者によれば「現在大きな(利用者)数が見え始めており、モバイルバンキングの潜在力はとても大きい」という。

中南米で最大手の携帯通信事業者となったスペインのテレフォニカ(Telefonica)では、来年4カ国(ブラジル)の市場でモバイルバンキングのサービスを提供する計画を打ち出している。同社のモバイル・フィナンシャル・サービス責任者によると、この地域では、銀行口座の保有者は全体の35%、さらに銀行発行のキャッシュカードを持つ人の割合は19%に留まるいっぽう、携帯電話の契約者は全体の9割

新興国に広がるモバイル・バンキング - 潜在成長力に期待する欧州系通信キャリア


参考資料:

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